回復する人間

こころのびょーきとの戦いを綴ります。

断薬138日目(けいば!)

初めての競馬場は雨のなかだった。

 

肌寒く、小粒の雨が痛い。

 

昨日までは行く気まんまんだったのだけれど、今朝になってひとりで行くことが怖くなってきてしまった。孤独を余計に感じたらどうしよう。そもそもひとりで競馬なんて楽しめるのだろうか。そんな疑問が足取りを重くする。どうしたらいいんだろう。

 

でも、負けたくなかった。自分に負けたくなかった。何よりまいちゃんが示してくれた、ひとつの道しるべだ。ここで逃げたら何も変わってないじゃないか。孤独がなんだ! これ以上の孤独があるもんか!

 

そう思ってひとり足を運んだ。

 

駅に着くとブルーシートの行列ができていた。明日のためなのか。競馬ファンの熱量に怖気づく。怖々と、競馬場へ向かう。

 

雨のせいか、思ったより、人混みがキツくはない。

 

席もたくさん空いてる。

 

大丈夫、大丈夫。怖くない。

 

席をとってから、競馬場を散策する。

 

ショッピングモールみたいで迷子になる。なかは人混みがスゴイ。人間を見てると吐きそうになる。

 

不安になっていると、レースが始まるアナウンスが流れた。急いで外に出る。最初のレースはどこを見てよいのかわからなかった。電光掲示板を眺めていると、馬の足音が響く。思わず立ち上がった。気づいたらゴールの前まで駆け寄っていた。

 

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一頭、一頭の迫力に圧倒された。力強い、実に力強い。動物の生命力を感じる。かっこいい。そして、速い。

 

気がつくと、さっきまでの不安がなくなっていた。

 

次のレースまで時間があるので、競馬場を散策。

 

パドックにじっと見入ってしまう。

 

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美しい。馬の毛並みが艶やかだ。こんなに美しい生き物が目の前で息をしていることが信じられない。

 

そのまま、競馬場をひたすら歩く。

 

孤独ではある。でも、この孤独が気持ち良い。

 

まいちゃんが見せたかった光景は、これなんだ。深呼吸をする。胸に清らかな空気がたまっていく。心が潤っていく。

 

次のレースは入場から、スタート、そしてコーナー、ゴール、全てを見届けた。

 

2時間ほど競馬場にいて、パーティへ向かう。

 

また、ここに戻って来られる日が来ることを祈って。